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先生は・・・

           先生はペテン師かな?

 左半身が不随になられて、ご主人が連れてこられて、リハビリ兼ねた調整にこられている方がおられます。

 ご主人が「先生口が少し静まる治療をしてください」といわれていたことがあります。

 体が不自由になっただけ、自分ができないことの思いがつい口やかましくなってくるのでしょうが、それを聞くご主人はこれほど一生懸命に世話をしているのにと思うので、余計に辛い言葉として聞こえるのではないかと思います。


 今年になってはじめてこられましたが、毎週4日間くらいはリハビリにいっているし、なかなか和白に来る時間が取れないそうです。

 その方がいわれるのに「介護師も先生も皆ペテン師みたいなものですね、口で調子のいいことをいってそれで仕事になるのですから」

 何とかその方が気持ち良くなって欲しいと思いますし、口で元気付けることもありますので、ある意味お調子者・ペテン師といわれても致し方のないところもあります。

「あなたからペテン師といわれましたが、この道30年経てばそれなりの格がついてきているのではないでしょうか」

「30年それを通されたとしたら、ペテン師としては一人前かもしれませんね。これからもさらにペテン師としての腕を上げてください」とそれなりに励まされた感じになりました。

 右手で杖を突いて、補助具をつけていますが、歩くのもなかなかのようです。

 ご主人が「口が余りまみれないようにしてください」といわれる気持ちもわかりますが、そのようなやり取りをしていくことが、少しづつ気持ちも和んでこられているようです。


 病院でのリハビリでは、言葉のキャッチボールをするよりも、一連の作業をすることが大事でしょうが、和白にきたらいいたいことをいいながら時間が過ぎていきます。

「ご主人に感謝のありがとうをお経を問えるようにいわれたら、もっと素敵になりますよ」というと「感謝はしているが、言葉に出していっていないのでこれからいうようにします」といわれて帰られました。



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