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素直になれず

        親孝行がなかなかできず!

 父親が昨年亡くなられて、母親は一人暮らしを望んでいますが、杖なしでは歩けないし、移動も車椅子が必要で、一人で暮らすことはまず無理なようです。

 子供さんは小学校の先生をしていますし、お世話もなかなか出来ないので、ホームに入所して頂いたようです。


 母親からは「私は一人で生活したいのに、こんな所に入れてしまって」ときつく詰問されるそうです。

 何とか時間を作ってホームを訪問したら、愚痴や文句が機関銃のように飛んできて、訪問するたびに頭にくることがあり、それを聞くのも難行苦行の様子です。

 年度末から、年度初めは忙しいと母親の思考回路には入っているようで「新学期が始まり一段落したら、何時までもこんな所にいたくないし、早く出たいので考えていて欲しい」といわれたそうです。

 やっとホームに入れてもらったのにという気持ちがあるのに「我が母親ながら愛想が付く、亡き父親はよく一緒にいてくれたものだ」と、両親を何時の間くらべているようでした。

 3月末に今まで入院していた病院での定期検査に同行して、昼食を久し振りに外で一緒にしたり、ホームで友達になった方にお土産を買いたいのでというと、その度に車椅子を下ろして組み立て、それに母親を乗せて押して店を廻り、今度は母親を車に乗せ込み、車椅子を積み込という動作を10数回されたそうです。

 そのようなことをしていると、母親が「あんたに随分世話を掛けるね、ありがとう」という労いの言葉を掛けられたようですが、こんな言葉は初めて聞いたそうです。


 母親と一日付き合うのも大変だとは思いますが、腎臓の精気が落ちてくると、耳に入ってくる言葉は自分の気持ちを落ち込ませるような響きとして聞こえ、一層疲れがでてくるようです。

「上手に聞き流すということが、水性の腎気にとって大切なことですから、あぁそう、あぁそうですねと、上手に相槌を打ちながら、母親がホームの生活を楽しめるようにしてあげて下さい」と励ましました。

「気持ちよく母親と対応していかないと、ご自分の身が持ちませんよ、一々頭にきていたら血が汚れてあなたが疲れますよ、母親はあなたに愚痴を聞いてもらって反ってすっきりしているでしょうから、もう少し賢くなって下さい」と。



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